進路情報教師を目指す卒業生

【対談】教諭 谷内田京子 × 卒業生 綿川敦子

谷内田京子(本校教員、生活指導部、国語科、綿川の3年担任)

綿川敦子(卒業生、女子柔道、金城大学)

綿川さんは、福祉クラスのご卒業だということですが。

W:
そうです。普通科の福祉クラス。現在の金城大学コース社会福祉クラスの前身にあたります。

福祉クラスを選ばれたきっかけは何だったのでしょうか?

W:
祖父が中学生の時に脳梗塞で倒れました。その時に訪問介護をされている方を見て、自分も困っている人のお手伝いをする仕事に就きたいと思いました。そこで、福祉コースのある遊学館を選びました。
Y:
当時はまだ、金城大学コースがなかったので、普通科の福祉クラスでしたね。このクラスは、将来の目標をしっかりと持っているのでとても勤勉な生徒が多いですね。
放課後も教室に残って勉強する生徒もいます。授業態度を見ても、成績を見ても問題がある生徒はいませんね。目的意識が高いので、勉強をやらされているという感じではない。
それは、金城大学コースと名称が変わっても同じですね。
そもそも、福祉の道を志している人は、基本的にやさしい人が多いですね。そして、芯がある。 受験対策として論文を書かせたり、面接の練習をさせて見ると一般的な高校生との違いがよくわかります。介護の道に進みたいという強い意志が伝わってきます。

遊学館高等学校生だった頃の綿川さんは、どんな生徒さんでしたか?

Y:
高校2、3年生の時の担任だったのですが、ひとことで言うと頑張り屋さんでしたね。本校には柔道部がないにもかかわらず、道場に通って北信越大会に出場という立派な成績を収めたり。 部活がないということは、引率する顧問もいないわけです。試合になると担任である私が、引率していきました。そういう意味では、特に繋がりの深い、思い出深い生徒でした。
W:
長野で開かれた北信越大会は今も思い出に残っています。私の両親と先生と、先生のご家族まで一緒に応援に来てくださって。
Y:
主人と息子 ─ 当時4歳だったかしら。私も一人では心細いので家族に一緒についてきてもらったんです。敦子は直ぐに泣くんです。
W:
試合に負けて泣いていたら、4歳の息子さんが「お姉ちゃんないとるね。痛いんかね」とか言っていた。慰めてくれたんです。 試合後、みんなで同じ宿舎にとまって食事をして。まさに、家族ぐるみのおつきあいです。(笑)
Y:
大会前になると減量をするんですけど、昼食の時間になると、職員室の私の隣へ来て、「みんなが食べているのが辛い」と言いながらダイエットゼリーをチュッチュチュッチュ飲んでたりして。 私も食事をとらずに、よしよしってなぐさめたりしましたよ。

現在、福祉科の教育実習ということですが。

Y:
教員免許のなかでも福祉科の資格は大変なんです。教育実習生として毎年卒業生が母校に戻ってきますが、福祉の教育実習生は私の知るところでは初めてなんじゃないかな。 それだけに、ものすごくかわいい。

綿川さんから見た先生の思い出は?

W:
勉強だけでなくプライベートなこと ─ 例えば友達のこととか彼氏のことまで相談に乗ってくれる先生でした。いつも優しいけど。叱るときはちゃんと叱ってくれる。
Y:
注意するのは、言葉遣いや、あいさつ。社会人としてのモラルやマナーなど、積極的に「小うるさく」言おうと思っています。社会に出たり、大学に進んだら、言ってもらえないでしょ。 基本的に教師というよりお母さんのようにうるさいんです。「お行儀がわるいですよ」とか(笑)。

綿川さんの将来の夢をお聞かせください。

W:
たとえどんな職場に就職したとしても、福祉のことを多くの人に伝えることができたらと思っています。福祉ってあまり知られていないでしょ。特に若い人には、自分と関係ないことだと思っている人も多いですし。
体に障害をお持ちの方や、お年寄りなど社会的な弱者を、低く見る方がいらっしゃいます。しかし、お年寄りの方などは、自分達よりも人生経験も豊富で、お話ししていると学ぶことがたくさんあることに気付かされます。
彼らも私達と一緒なんです。いずれ私達も、歳を重ね年寄りになるわけですから。そう考えると福祉も他人事ではありません。福祉制度やサービスを知って、興味を持ってもらいたいと考えています。

先生から綿川さんへメッセージがありましたら。

Y:
高校生の頃は想像できないほど、たくましく成長した綿川さんを見て頼もしく、またうれしく思いました。 生徒時代は、どちらかというと控えめで、決してリーダーシップをとるようなタイプではなかったので。 今の言葉からは、綿川さんの強い意志、社会に働きかけようとする積極性を感じました。そういう強い思いをもって思い描いている将来の夢に向かって突き進んで欲しいと思います。